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鎧伝サムライトルーパー MESSAGE(メッセージ) 第5話 あらすじ・みどころ

和傘

鎧伝サムライトルーパーとは

『鎧伝サムライトルーパー』は、1988年4月30日から1989年3月4日まで、名古屋テレビを制作局としてテレビ朝日系列で毎週土曜に全39話が放送された、サンライズ制作のテレビアニメ。

キャッチコピーは「俺の心に鎧が走る!」。

1990年代はじめには一大ムーブメントを起こし、現在の声優ブームの先駆けにもなりました。今なお根強い人気があり、2022年には森口博子&草尾毅が歌う『サムライハート ~2022~』が全世界配信。

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ここでは、『鎧伝サムライトルーパー』の感想と見どころ、そして各資料を踏まえての考察をご紹介いたします。

MESSAGE 第5話 訪れた真実 あらすじ

横たわるすずなぎは、自分の心に迷いが生まれている事を感じます。しかし、すずなぎはそれすらも自分で押さえつけようとしていました。

その頃、遼は留守番電話に残されたメッセージを聞いていました。

当麻からは未来の可能性を見いだせない焦りが残されていました。伸からは、自分のなすべきことが分からないという迷いでした。秀は、自分の力をどこにぶつけるべきか、その相手は本当に敵なのかという疑問を残しています。そして征士からは、人の心と未来を信じるという希望が残されていました。

<続きを読む(※ネタバレを含みます)>

伝言を聞き終わった遼は、ナスティに電話をかけます。軽はずみな行動ではない、自分が行くしかないという遼に、ナスティは間違っているのは私達ではないかと問いかけます。しかし、それに答えることなく遼は電話を切るのでした。

遼は、すずなぎに会うために都庁へ向かいます。遼の前に現れたすずなぎには、もう闘う意思はありませんでした。それだけではなく、すずなぎは輝煌帝の鎧を呼び出す気持ちすら既に無くなっていました。すずなぎは、烈火の鎧で自分をどこへ導き出そうとするのか、それを示せと遼に言います。遼も、その思いに応えるためにすすなぎのもとを訪れたのでした。

「我が恨みは?」と、問いかけるすずなぎに、遼は「しかと見届けてくれ。砕いてみせる、鎧と共に」と答えます。

そうしてすずなぎの怨念で作られた鎧を武装した遼は、仲間達と再会します。遼達は力を合わせると、すずなぎをある場所へと導きます。そこは迦雄須によって作られた墓場で、墓のなかには欲望から鎧を守り続けた人々が安らかに眠っていました。邪悪なものが侵入しないように、何重にも迦雄須の封印が施されているとても神聖な場所で、五人の鎧の力が無いと立ち入ることが出来ない場所です。

墓場は曇天で、さらに霧が立ち込めていました。

「晴れるといいな」という遼の言葉と裏腹に、すずなぎの心は失望しかけていました。遼達の救済も空しく、自分の求める答えがそこになかったからです。そんなすずなぎの前に花を口にくわえた白炎が現れます。白炎が花を置いたのは、なんとすずなぎの母の墓でした。すずなぎの母も鎧の守り人として、迦雄須の力で安らかな眠りについていたのです。

すずなぎが瞬くと、目の前には母がいました。

驚くすずなぎに、母は「幼いあなたは目の前の現実を理解できなかった」と言います。そして、「あなたの苦しみや悲しみがその心に怨念を生んだ。その気持ち(愛)は形を変えることもあり、母はいまのあなたを哀れに思う」と嘆きます。母の語り掛けによって、すずなぎは自分がやろうとしていることは両親の教えとは異なり、妖邪そのものだと気が付きます。泣き崩れるすずなぎに、母は「愛をもう一度取り戻してほしい」と伝えるのでした。

この時、世界では湾岸戦争が起きていました。その負のエネルギーは鎧世界にも影響を及ぼし、世界各国の上空では鎧武者たちが争いを起こしていました。国連では、識者たちが数年前に新宿の空で起きた現象と同じことが起きていると言い、武器を投じてこれを収めようとしていました。世界は、力に力で対抗しようとしていたのです。そこに、「異議申す!」と叫んだのはナスティでした。

すずなぎとの戦いに、遼達は武器を使わずに勝ちました。心と心で向かい合い、戦わずしてすずなぎの心を救ったのです。戦いを終えた遼達は、ビルの屋上から新宿を見下ろしていました。

人の心をまずは自分達から伝えて行こう。

遼達がそれぞれに誓い合うと、その思いを見届けましょうと空からすずなぎが伝えて消え去ります。ようやく遼達は、鎧戦士としての最後の戦いを終えることが出来たのでした。

その頃、剣道の試合に出ていた純は、自分の名前を呼ばれて力強い返事で応えるのでした。

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見どころ

  • 何分経っても途中で途切れない留守番電話
  • 留守番電話を聞いている時、一切またたきをしない遼。

ここに注目!

物語の中盤に、遼達はすずなぎをある墓場へと連れて行きます。この墓場とはなんなのか、なぜこのような墓場が作られたのか、そこにも意味がありました。公式ムック本には、墓場は『千年の時間、鎧を守り続けた人々』が眠る場所と書かれています。

鎧を守り続けた人々とはどんな人たちだったのでしょうか。MESSAGEから鎧伝サムライトルーパーという作品を知るには、そこも理解しておく必要があります。

迦雄須は心ある侍に鎧を託していた。九つある鎧のうち、千年後の子孫に継承されたのは五つだけであった。しかし、この五つも多くの人々の犠牲が無ければ継承されなかったのである。
(中略)
主家の命令とあらば、鎧を差し出さなければならない事もある。一族が人質にされる事もあったろう。逆らいきれない事態は枚挙にいとまがない。
そんな時、鎧の継承者にどんな悲劇が起きたのだろうか?
(中略)
だが、彼らは鎧を戦に使う事だけは絶対になかったのである。来るべき妖邪との戦いまで鎧を守らなければならない。鎧の周囲に結界を張り、人知では鎧の存在が分からないように封印するしか方法はなかった。
(中略)
継承者たちは、未来を信じ鎧の封印に全力を傾けたのである。

公式ムック本『鎧伝サムライトルーパー メッセージ』より

また、公式ムック本ではこのように話を続けています。

それでは、そういった人々の魂はどこに行くのだろうか?鎧によって命を失った魂は一歩間違えば怨念を持ってしまう。安息の地が無ければ、もっとも強力な妖邪に変化するかもしれない魂は、迦雄須一族の力で聖地に奉られ御霊になっていたのである。

公式ムック本『鎧伝サムライトルーパー メッセージ』より

この一文を読んで、誰か思い当たる人はいませんか?

そう、迦遊羅です。迦遊羅の力は、輝煌帝の鎧の力をもってしても倒す事の出来ない存在でした。まさに、阿羅醐と芭陀悶の妖邪(怨念の)力によって作られた、もっとも強力な妖邪だったのです。

すずなぎの母が眠る墓場は、迦雄須一族の力で強力に封印されなければならない場所だったというのも納得です。

話を追うごとに、なぜすずなぎは疲れを見せ始めるのか

すずなぎが回を追うごとに疲れを見せるのは、公式ムック本では『怨念しかなかった心に感情がもどってきているから』と説明されていました。

個人的には、すずなぎは自分自身を求道者(救済者)だと思っていたのでは?と推察します。自分の怨念で作った鎧は阿羅醐の鎧とは違い、汚された世界を綺麗にするもので、迦雄須によって鎧戦士にされてしまった5人をも救うものだと、考えていたのではないでしょうか。

しかし、武装した当麻は苦しみます。伸は悲しみの涙を流し、秀の義の心は忘れていた母との思い出を呼び起こし、すずなぎの心を乱します。征士に至っては、すずなぎの苦しみ全てを受け止めたうえで彼女の怨念によって作られた鎧を着たため、すずなぎは自分の正しさが何かわからなくなってしまったのではないでしょうか。だからこそ、さいごは輝煌帝を呼び起こす気力が失せ、逆に遼に答え(救い)を求めた……というのが、個人的な見解です。

さいごに、MESSAGEはいったいなにを伝えたかったのか、こちらをまとめて『鎧伝サムライトルーパーのあらすじ・まとめ』を終わりにさせていただこうと思います。

作品を通して伝えたかったMESSAGEとは?

MESSAGEを難解にさせた理由のひとつが、鎧戦士たちの過去の映像と重ねて語られたモノローグでした。ただ、モノローグとすずなぎのシーンを分けて考えると、話しは逆にわかりやすくなります。

遼のモノローグはありませんが、すずなぎとの会話がそれにあたるといってもよいでしょう。すると、以下のように話が見えてきます。

  • 天空・智:戦いの残酷さを(さと)す当麻。
  • 水滸・信:自分(個人)の念(思い)が、戦いの前で崩れ去る虚しさを吐露する伸。
  • 金剛・義:武器と(金剛)の恐ろしさを語る秀。
  • 光輪・礼:力に力で対抗する愚かさを説き、節を語る征士。
  • 烈火・仁:心(=慈愛)を伝える遼。

ただ、これはあくまで一個人の解釈です。

MESSAGEという作品は見ている方それぞれに答えがある作品です。逆を言えば、制作者サイドから鎧伝サムライトルーパーという作品を通じて、私達に心とはなにかを問いかけている、それがMESSAGEという作品なのかもしれません。

その思いは、30数年という時を経てもなお色褪せることがなく驚くばかりです。

以上が、鎧伝サムライトルーパー全話のまとめとなります。もし、鎧伝サムライトルーパーの話の中での疑問点や、この部分を深く知りたいというところがあれば、お問い合わせフォームか、Twitter(塩@saltandshio)からDMを寄せて頂ければと思います。

塩(運営者)

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お付き合いいただき、どうもありがとうございました。

桜
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