ライフハックとしてではなく、英語学習にも極めて有用なのが、著名人が10分程度のプレゼンを行うTEDです。
TED Talksとは、あらゆる分野のエキスパートたちによるプレゼンテーションを無料で視聴できる動画配信サービスのことです。10年ほど前にサービスが開始されてから、政治、心理学、経済、日常生活などの幅広いコンテンツが視聴できることから人気を集めています。
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TEDは4000を超える膨大な数の動画があります。しかし慣れないうちは、動画の探し方や視聴のコツが分かりませんよね。この記事では、数多くのTEDを見てきた管理人（塩@saltandshio）が、心を揺さぶられたトークをあらすじと一緒にご紹介します。
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マシュー・ウィンクラー：あなたとヒーローの共通点
古今東西の物語の英雄たちを結びつける試練とは何か？そして普通の人びとが英雄たちと共通して持っているものとは？英雄を生みだす重要なイベントを、一つ一つ学んでいきましょう（約4分半）。Matthew Winkler / What makes a hero?
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ハリー・ポッターや、カットニス・エヴァディーン、そしてフロド。この３人と 神話のヒーローたちとのあいだに共通点があるとしたら、なんだと思いますか？そのまえに、この３人はそもそも何者か。それぞれのキャラクターについて紹介しましょう。
『ハリー・ポッター』（英: Harry Potter） は、イギリスの作家J・K・ローリングによって著された7巻のファンタジー小説シリーズである。1990年代のイギリスを舞台に、魔法使いの少年ハリー・ポッターの学校生活や、ハリーの両親を殺害した張本人でもある強大な闇の魔法使いヴォルデモートとの因縁と戦いを描いた物語。
ハリー・ポッター / Wikipediaより
カットニス・エヴァディーンとは、『ハンガー・ゲーム』の主人公。District12地区で貧困生活を送っていた女の子。刈り入れの日に選ばれてしまった妹の代理となってハンガー・ゲームに出場する。持ち前の精神力と、狩猟で鍛えた弓の技量で生き残っていく。
『ハンガー・ゲーム』とはアメリカの作家スーザン・コリンズが2008年9月に発表したヤングアダルト小説。3部作。文明が崩壊した近未来アメリカを舞台に、あるゲームに参加させられた16歳の少女の活躍を描く。
ハンガー・ゲーム / pixiv百科事典より
フロド・バギンズ（Frodo Baggins, 第三紀2968年9月22日 – ）は、J・R・R・トールキンの中つ国を舞台とした小説、『指輪物語』の登場人物。賢く慈悲に満ち溢れたホビットで、その情け深さこそが物語最大のテーマの一つでもある。
『指輪物語』（ゆびわものがたり、原題: The Lord of the Rings）は、イギリスのJ・R・R・トールキンによる長編小説。エルフや人間が国家を築き、戦争を繰り広げる架空の世界を舞台としたハイ・ファンタジー作品である。
指輪物語（ロード・オブ・ザ・リング） / Wikipediaより
アメリカ合衆国の神話学者として有名なジョゼフ・キャンベルは、世界中の神話を研究したあとで一冊の本を出版します。その名も『千の顔をもつ英雄』という本で、ジョゼフ・キャンベルは、いくつもの物語がただ一つの神話の型に当てはまっていることを示しました。その型というのがヒーローズ・ジャーニーと呼ばれるものです。
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ジョゼフ・キャンベルが型を作った、「ヒーローズ・ジャーニー」とはなんなのでしょうか。ヒーローズ・ジャーニー（英雄の旅）とは、神話の中にあるひとつの流れのことを指します。
一つの円を思い浮かべてください。旅は英雄の日常に始まり日常に終わります。しかしその間に、英雄は特別な非日常の世界を冒険するのです。
Think of it as a cycle. The journey begins and ends in a hero’s ordinary world, but the quest passes through an unfamiliar, special world.
このヒーローズ・ジャーニー理論は、よく時計に例えられて表現されます。
- １時 冒険への招待（Call to Adventure）
- ２時 援助（Assistance）
- ３時 旅立ち（Departure）
- ４時 試練（Trials）
- ５時 接近（Approach）
- ６時 危機（Crisis）
- ７時 宝（Treasure）
- ８時 結末（Result）
- ９時 帰還（Return）
- 10時 新生（New Life）
- 11時 解決（Resolution）
- 12時 現在地に戻る（Status Quo）
各時間にどのようなことが起きるのか、順番に説明しましょう。
- 冒険への招待→英雄は謎めいたメッセージを受け取ります
- 援助→英雄は年上の賢者に助けてもらいます
- 旅立ち→英雄は故郷に別れを告げて旅立ちます
- 試練→英雄は化物を倒したり謎を解いていきます
- 接近→英雄の身に最大の危険が訪れます
- 危機→英雄にとって最も苦しい時間で、時に敗れます（でも復活します）
- 宝→ついに英雄は宝を手に入れます
- 結末→結末は物語によって変わります
- 帰還→英雄は日常の世界に帰還します
- 新生→冒険は英雄を変えて成長させます
- 解決→複雑な物語の筋が解き明かされていきます
- 現在地に戻る→現在地に戻っても、成長した英雄は以前と同じではありません
いかがでしょうか。古今東西、様々なものがたりが、このセオリーにあてはまっていることがわかりますね。
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このセオリーをWikipediaに掲載されている鬼滅の刃のあらすじに沿ってあてはめてみましょう。
『鬼滅の刃』（きめつのやいば）は、吾峠呼世晴による日本の漫画作品。『週刊少年ジャンプ』（集英社）にて2016年11号から2020年24号まで連載された。日本の大正時代を舞台に、主人公の少年が鬼と化した妹を人間に戻すために鬼たちと戦う姿を描く、和風の剣戟奇譚。
鬼滅の刃 / Wikipediaより
- １時 冒険への招待（Call to Adventure）
→主人公・竈門炭治郎（かまどたんじろう）の家族が鬼に惨殺され、唯一生き残った妹・竈門禰󠄀豆子（かまどねずこ）も鬼と化してしまう。鬼になった禰󠄀豆子は炭治郎を襲う。 - ２時 援助（Assistance）
→禰󠄀豆子に襲われかけた炭治郎を救ったのは冨岡義勇（とみおかぎゆう）と名乗る剣士だった。義勇は禰󠄀豆子を「退治」しようとするが、兄妹の絆が確かに残っていることに気付き剣を収める。義勇の導きで「育手」鱗滝左近次（うろこだきさこんじ）の元を訪れた炭治郎は、禰󠄀豆子を人間に戻す方法を求め、鬼を追うため剣術の修行に身を費やす。 - ３時 旅立ち（Departure）
→2年後、炭治郎は命を賭けた最終関門である選別試験を経て、「鬼殺隊」に入隊する。 - ４時 試練（Trials）
→炭治郎は、我妻善逸や嘴平伊之助という仲間と出会い、宿敵・鬼舞辻󠄀無惨（きめつじむざん）を倒すため、那田蜘蛛山、無限列車、遊郭、刀鍛冶の里などで部下の鬼たちを倒していく。 - ５時 接近（Approach）
→ときに仲間を失いながら、炭治郎は敵の総本山へと行き鬼たちの総力戦が始まる。 - ６時 危機（Crisis）
→無惨は死の間際に、残る力の全てと己の想いを注ぎ込んで炭治郎を鬼の王に変える。鬼になってしまった炭治郎は、仲間たちに襲い掛かる。 - ７時 宝（Treasure）
→炭治郎は仲間たちの力を借りて無惨を倒し、人間として目を覚ます。 - ８時 結末（Result）
→鬼は滅び、禰󠄀豆子も人間にもどる。 - ９時 帰還（Return）
→戦いを終えて、鬼が討伐されたことにより「鬼殺隊」も解散する。 - 10時 新生（New Life）
→さまざまな経験が炭治郎や仲間たちを大きく成長させた。 - 11時 解決（Resolution）
→無惨と鬼たちは滅び、鬼殺隊は活動を終え、炭治郎と禰󠄀豆子は家に帰る。 - 12時 現在地に戻る（Status Quo）
→時は流れて現代・東京での、鬼殺隊の末裔の物語。
鬼滅の刃だけでなく、多くのアニメやドラマがこのセオリーに当てはまっていることがわかりますね。しかし、これは架空の世界だけの話ではありません。
では「あなた」がハリーやカットニスやフロドと同じ点は？
同じ人間だ、ということです
What do you have in common with Harry Potter, Katniss Everdeen, and Frodo?
Well, you’re human, just like them.
ヒーローズ・ジャーニーはどんな文化にも存在し、日々更新され続けています。そして、忘れてはいけないのが、あなたもまたヒーローだということです。
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小説やアニメは奇想天外なストーリーで、自分とはまるで違うと感じる人もいるでしょう。しかし、そんなことはありません。
人間は世界について考えるときに、自分自身の人生を象徴的な物語として捉えるからです。
快適な場所を離れ、自分を変えるような体験をして、復活し、再挑戦するのです。
Because we humans reflect on our world through symbolic stories of our own lives.
You leave your comfort zone, have an experience that transforms you, and then you recover and do it again.
実際に、ドラゴンや鬼とは戦いませんが、あなたもまた同じくらい様々な強敵に立ち向かっているはずです。ジョゼフ・キャンベルは「恐ろしい洞窟にこそ宝が眠っている」と千の顔をもつ英雄に書いてあります。
あなたにとっての「洞窟」はなんでしょう？
テストだったり、サッカーの試合だったり、部活の大会だったり、恋愛だったり、会社のプレゼンテーションだったり、なにかのオーディションだったり、はたまたプロポーズだったり、子供が生まれて育てたり……、さまざまな人生のイベントが試練として訪れて立ち向かっているはずです。それらのイベントが終わった後、一回り大きくなった自分になって日常に戻っているのではないでしょうか。
そして自分の人生の中にも、冒険への招待に耳をすませて試練を受け入れてください。脅威を乗り越えて宝を手に入れましょう。
その繰り返しこそが人生なのです。
But also be sensitive to it in your own life. Listen for your call to adventure. Accept the challenge. Conquer your fear and claim the treasure you seek.
And then, do it all over again.
今年1年、おつかれさまでした。多くの人が困難とともに過ごした年だったと思います。これからむかえる新しい年が、あなたにとって冒険に満ち溢れた毎日でありますように。
英語全文
What do Harry Potter, Katniss Everdeen, and Frodo all have in common with the heroes of ancient myths? What if I told you they are all variants of the same hero? Do you believe that? Joseph Campbell did. He studied myths from all over the world and published a book called “The Hero with a Thousand Faces,” retelling dozens of stories and explaining how each represents the mono-myth, or Hero’s Journey.
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Think of it as a cycle. The journey begins and ends in a hero’s ordinary world, but the quest passes through an unfamiliar, special world. Along the way, there are some key events. Think about your favorite book or movie. Does it follow this pattern?
Status quo, that’s where we start. 1:00: Call to Adventure. The hero receives a mysterious message. An invitation, a challenge? 2:00: Assistance The hero needs some help, probably from someone older, wiser. 3:00: Departure The hero crosses the threshold from his normal, safe home, and enters the special world and adventure. We’re not in Kansas anymore. 4:00: Trials Being a hero is hard work: our hero solves a riddle, slays a monster, escapes from a trap. 5:00: Approach It’s time to face the biggest ordeal, the hero’s worst fear. (Roar) 6:00: Crisis This is the hero’s darkest hour. He faces death and possibly even dies, only to be reborn. 7:00: Treasure (Roar) As a result, the hero claims some treasure, special recognition, or power. 8:00: Result This can vary between stories. Do the monsters bow down before the hero, or do they chase him as he flees from the special world? 9:00: Return After all that adventure, the hero returns to his ordinary world. 10:00: New Life This quest has changed the hero; he has outgrown his old life. 11:00: Resolution All the tangled plot lines get straightened out. 12:00: Status Quo, but upgraded to a new level. Nothing is quite the same once you are a hero.
Many popular books and movies follow this ancient formula pretty closely. But let’s see how well “The Hunger Games” fits the hero’s journey template. When does Katniss Everdeen hear her call to adventure that gets the story moving? When her sister’s name is called from the lottery. How about assistance? Is anyone going to help her on her adventure? Haymitch. What about departure? Does she leave her ordinary world? She gets on a train to the capital. OK, so you get the idea.
What do you have in common with Harry Potter, Katniss Everdeen, and Frodo? Well, you’re human, just like them. The Hero’s Journey myth exists in all human cultures and keeps getting updated, because we humans reflect on our world through symbolic stories of our own lives. You leave your comfort zone, have an experience that transforms you, and then you recover and do it again. You don’t literally slay dragons or fight Voldemort, but you face problems just as scary. Joseph Campbell said, “In the cave you fear to enter lies the treasure you seek.” What is the symbolic cave you fear to enter? Auditions for the school play? Baseball tryouts? Love?
Watch for this formula in books, movies, and TV shows you come across. You will certainly see it again. But also be sensitive to it in your own life. Listen for your call to adventure. Accept the challenge. Conquer your fear and claim the treasure you seek. And then, do it all over again.
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世界最古の英雄譚といわれるギルガメシュの冒険からオデュッセウスの苦難の旅、ブッダの修行、イザナギとイザナミの物語まで、古今東西の神話や民話に登場する「英雄」たちの冒険を比較すると、心を揺さぶる物語の基本構造が見えてくるー。ジョージ・ルーカスに“スター・ウォーズ”創造のインスピレーションを与えるなど、世界中のクリエイターたちに多大な影響を与えた神話学者キャンベルによる古典的名著の新訳版。
「週刊少年ジャンプ」にて2016年11号より連載が開始された、吾峠呼世晴による漫画作品。人と鬼との切ない物語に鬼気迫る剣戟、時折コミカルに描かれるキャラクターたちが人気を呼び、単行本1巻～23巻で累計発行部数が1億5000万部を突破。
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